地震。

近ごろ大きな地震が各地で相次いで起こっている。
地震列島、プレートとプレートの上にのっかった国だから、
仕方がないったらそうだけども。
それに、巨大な山脈が急きょ出来たり、
大陸が真っ二つなんてこともあった地震からすれば
ながーい地球の歴史の中で最近の地震
大したことはないのかもしれないな。
でもね、降ってくるガラスや、倒れかかる家具に
簡単に危険にさらされるのが我々の現状だ。


自分が動いてて、「あれ?!地震?!」と思ってしまうことがある。
びびりなのと地震が大嫌いのとあともう1つ。
どうして、そんなに過敏になってしまうか。
それは、幼い頃より育った環境が、
自然に染み付いてしまったものだと推測する。
今は違うが、生まれた時から古い作りの家に住んでいた。
建てたのが関東大震災の翌年らしく、かなりの年代物だった。
もちろん、それからずーとそのままの状態ではない。
手直ししたり、リフォームしたり、改築、改造したりしてきた。
でも、土台となる柱や梁は大正時代のもの。
まぁ、百年は経っていないけれど
しっかり建てられた方ではないかと思う家だった。
それでも、もちろん、がたもくれば、寿命もあるだろう。
そう、がたが来ていたなんてそんな甘いものではなかった。
利点はあるにはあって、すべが木造で出来ているため、家が呼吸し、
極度の湿気や乾燥の心配は一切なかった。
あぁ・・・家が呼吸しているというよりは・・・隙間があちこちにあり、
風通しがよかったといった方が正解だな。
とくにひどかったのは、作者の部屋。ドアを入ってすぐの右の壁の隙間から、
片目をつむってのぞくと、確実に向こうの家が見える。
天気のいい日はそこから日ざしが入り・・・って、窓じゃないんだからね?!
寒い冬の朝には冷気が部屋中に充満し、
ベッドの上にいるのに凍死するかと思った。
真冬に窓を少し開けて寝ちゃった・・・なんてこと、あんまりないけど
作者の部屋は常にそれ。だから、何で目が覚めるか。
そう、寒くて自然に目が覚める。生命の危機を感じるのだろうか。
自分の部屋にいて毎朝、命がけなんて嫌だな。
だから、たくさん着込んで、ヒーターをつけっぱなしで寝ていたもんだから、
毎冬電気代がすごいことなっていた。まぁ、命には変えられないもん。
そして、家全体も両サイド下がってきているのが目に見えてわかった。
いや、身体で感じた。
机に向かい椅子に座って宿題をしていた学生時代のある日のこと。
はぁっ!! とびっくりした。
キャスターつきの椅子に座っていたために、身体が自然に右へと移動。
あれ?! と思いながらも身体を元の位置に戻す。
するとまたもや、同じ現象が起きた。コロコロとキャスターが自然に動く。
その一連の動作を繰り返し、確証した。
「か、傾いてる!!」試しにビー玉を転がしてみる。
おぉぉーー転がる転がる。結構なスピードだ。
ポルターガイストもびっくりハウスもお手上げな動きっぷり。
キャスターのストッパーなしには机に向かって勉強できない家って・・・
どれだけ傾いてるんだって話だよ。
いかに古いかお分かりいただけただろう。
そんな家に生まれ育ったんだもの、
ぐっらっとしただけで恐怖を感じるのは当たり前だ。
もうね?!ゆれるなんてもんじゃない。
震度1、いや、1以下でも絶対に感じる家の構造。
我が家に地震計測器置いた日にゃー、毎日ピンコン地震速報だよ。
1度ではなく2度、3度となったのならそのまま、
揺れに任せてぺちゃっていっちゃう可能性大。
おちおち寝てなんていられますかってーの。
だって、死んじゃうからね?! 家の下敷き率が高いのなんのって。
小さい頃よりそんな感じだったために、地震に対する反応は
きっと学校のクラスの誰よりもよかったに違いない。
学校でぐらっと来ても、1人で机の下にもぐる、
友だちが引くほどの、災害意識が飛び抜けて高い小学生だったもの。
地震だと思ったらまず、飛び起きて出口の確保と火の元の確認。
「あぁ・・・地震じゃない? 揺れてるよ」なんて
ゆらゆら揺れる照明機具をベッドの中で眺めているなんてことありえない。
すごい勢いで飛び起きる。あげく、寝起きの悪い作者だけども
この時ばかりは誰よりも寝起きがいい。頭が身体が一気に危機管理体勢。
地震の揺れで、家がゆがんでドアや窓が開かないなんてことが現実問題、
かなり高い確率であり得る話。
そして、どっから見ても100パー木造。燃えるよぉ〜?! 全焼確実。
そんな家に生れ育ったせいで、地震に対し異様に反応してしまうのだ。
それでも、当時は地震と一緒に家が揺れてるから大丈夫だと、
その方がつぶれないんだと、訳のわからないことを
言って聞かされたりしたけど、現に笑っちゃうくらい揺れるしね?!
作者の部屋の隙間が地震の度に広がっていくしね?!
実体験に基づいての恐怖と不安。
そりゃーあんた、悠長に構えてらるかってーの。
今はもうその家は存在しない。都市開発のあおりを受け
老朽化したびっくりハウスは取り壊された。
あぁ、懐かしいなぁ。今となってはいい思い出・・・って、
下敷きになってないから言える話だけど。
いつか必ず来る大きな地震。嫌だけど、
地球に住んでる、日本に住んでる限りしかたないのか・・・
ベッドの脇の頭の上の無造作につまれたビデオをどうにかしないと
確実に直撃間違いなしだな。
いや、それがね、落っこちている前に、今でもぐらっと来ると
すぐに目が覚めるんだわ。
そして、窓を開け、枕元においてある靴をはく。
幼い頃の習慣、環境って恐ろしいね。
染み付いちゃって抜けないもんだね。